「AIで月50万稼げます」に飛びつく人が後を絶たない理由【論文5本で解明】

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「AIで自動化して、初月から50万円」

「スマホ1台、1日10分でOK」

こういう広告、最近うんざりするほど見ないだろうか。

LINEに登録すると「無料勉強会」に誘導され、最後は数十万円のツールや講座を売りつけられる。買ってやってみたら、全然再現性がない。SNSには「登録者140万人・売上1.4億」を名乗るのに、実際のチャンネルには動画が4本しかない「実績」の人もいる。
中には「お前らはどうせやらないからライバル少なくて助かる」、「今すぐやらないやつはいつまでも貧乏のまま」など、謎にマウントをとって感情を煽る輩もいる。

冷静に考えればおかしいとわかる。なのに、引っかかる人が後を絶たない。

なぜか。「バカだから」ではない。人間の脳の仕様だからだ。今日は論文5本でその仕組みを説明する。


人間は「考えない」ようにできている

心理学では、人間の意思決定の多くが「ヒューリスティック」と呼ばれる思考の近道で行われることがわかっている。2010年にAnnual Review of Psychologyに掲載されたレビュー論文(被引用数3,883件)によると、人は情報の一部を無視して素早く判断する仕組みを標準装備していて、それは多くの場面でむしろ正確に機能する[1]。

問題は、この近道が悪用できることだ。

「140万人が登録」という数字を見ると、脳は「みんなが選んでいる=正しい」という近道で判断する。一つひとつ検証するより速いからだ。詐欺師はこの仕様を熟知して、検証されない前提で数字を盛ってくる。

「感情を揺さぶる情報」は20%多く拡散する

2017年のPNAS掲載研究(被引用数1,267件)では、56万件以上のSNS投稿を分析した結果、感情を刺激する言葉が1語増えるごとに拡散が約20%増えることが示された[3]。

「会社に縛られない自由」「あと5名で締切」「知らないと損する」

AI副業系の広告がやたら感情的なのは、偶然じゃない。感情が乗った情報ほど拡散し、目に入る回数が増え、見慣れたものを人は信じやすくなる。

一度信じたものは、訂正されても残る

さらに厄介な研究結果がある。2022年のNature Reviews Psychology掲載のレビュー(被引用数1,255件)によると、一度信じた誤情報は、後から訂正されても信念として残り続けることがわかっている[4]。

「あの商材は詐欺だった」という告発記事を読んでも、「でも自分のやり方が悪かっただけかも」と考えてしまう。義理の家族がマルチ商法にハマって、周囲がいくら止めても聞かない・・・という話をよく聞くのは、この「訂正への耐性」が原因だ。本人の性格の問題ではなく、人間全員が持っている認知の仕様だ。

金融リテラシーが「ワクチン」になる

では、どうすれば防げるのか。

2013年の全米経済研究所(NBER)の研究(被引用数827件)は、金融リテラシーを「人的資本への投資」と位置づけ、金融知識の低い層ほど経済的な意思決定で損失を被りやすいことを大規模調査で示している[]。

逆に言えば、基礎的な金融知識は詐欺へのワクチンとして機能する。「月利30%を保証」と聞いた瞬間に「世界最高の投資家でも年利20%なのに?」とツッコめる知識があれば、その先のLINE登録には進まない。

あわせて、2011年のJournal of Economic Perspectives掲載の研究では、金銭的インセンティブが人の行動や認識を歪めることが示されている[2]。「紹介すれば報酬」という構造の中にいる人の言葉は、善意でも歪む。勧誘してくる友人が嘘つきなのではなく、構造が情報を歪めている。


解決策:脳の仕様に合わせた防御を

論文から導ける対策は3つ。

①「数字の検証」を習慣にする。 実績を見たら登録者・再生数・投稿数の整合性を確認する。検証に5分かければ、ヒューリスティックの誤作動は防げる。

②感情が動いたら一晩置く。 「今すぐ」「残り僅か」で焦らされたときこそ、判断を24時間遅らせる。感情による拡散・誘導は時間経過に弱い。

③体系的な金融知識を先に入れる。 これが研究上もっとも確実なワクチンだ。

俺自身、FXで200万溶かした人間なので偉そうなことは言えない。ただ、あのとき基礎知識があれば止まれたという確信はある。

無料のマネーセミナーや投資スクールの体験講座は、その第一歩としてコスパがいい。怪しい「稼げる系」と違って、金融庁登録のある事業者が母体のものを選べば安全性も担保できる。

受講生の約9割がプラスの運用実績

「AIで楽に稼ぐ」を売る人ではなく、「自分で判断できる知識」に金を払う。地味だが、それが一番の近道だと思う。

この記事の実践編として「怪しい副業案件を5分で見抜くチェックリスト20項目+家族がハマったときの対処法」をnoteで公開している。スクショ保存して使える形にしてあるので、判断に迷ったときのお守りにどうぞ。

「AIで月50万稼げます」に飛びつく人が後を絶たない理由【論文5本で解明】|がちゃぴん
「AIで自動化して、初月から50万円」 「スマホ1台、1日10分でOK」 こういう広告、最近うんざりするほど見ないだろうか。 LINEに登録すると「無料勉強会」に誘導され、最後は数十万円のツールや講座を売りつけられる。 買ってやってみたら、…

今日の種は以上。
また次の種で会おう。

参考文献

[1] Heuristic Decision Making. Annual Review of Psychology (2010). https://doi.org/10.1146/annurev-psych-120709-145346
[2] When and Why Incentives (Don’t) Work to Modify Behavior. Journal of Economic Perspectives (2011). https://doi.org/10.1257/jep.25.4.191
[3] Emotion shapes the diffusion of moralized content in social networks. PNAS (2017). https://doi.org/10.1073/pnas.1618923114
[4] The psychological drivers of misinformation belief and its resistance to correction. Nature Reviews Psychology (2022). https://doi.org/10.1038/s44159-021-00006-y
[5] The Economic Importance of Financial Literacy. NBER (2013). https://doi.org/10.3386/w18952

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